中野さんの「2004 サロマ湖100Kウルトラマラソン反省記」
            
 一週間前の予報では天気は曇、最高気温は19℃だった。こんなに暑くなるとは思
ってもみなかった。スタート時に空にあった雲が今はどこへやら。ぐるりと空を見
渡しても一片の雲も見あたらない。強烈な陽射しがランナーの肌を刺して体温を上
昇させる。頭から氷水を浴びると正気に戻るが、1キロも進まないうちにまた足元
がフラフラしてくる。足がだるい、重い。坂道はどうしても歩いてしまう。2.5キ
ロ毎にあるはずの給水地点がなかなか見えてこない。給水まで後500mの看板からの
距離が嘘だろうと思うくらい長く感じる。今年のサロマは暑さとの闘いだった。

 龍宮台の折り返し付近までは池内さんと一緒に走った。10キロが約59分といつ
もどおりゆっくりのスタートだった。でも昨年のような余裕がない。左足は軽快に
動いているのに右足がおかしい。ふくらはぎが重たく感じ、着地が少しギクシャク
している。折り返し後、周りに合わせてペースを上げてしまった。でも自然にペー
スアップというより無理に上げている感じがして拙いなと思う。

 40キロ過ぎ辺りで「中野さん!中野さん!」と呼び掛けられ、驚いて振り返ると
能勢さんだった。はるか前を走っているはずなのに「どうしたの?」と聞くと内科
的に調子が悪いのでゆっくり行くとのこと。直前に罹った風邪のせいらしい。ゴー
ル後に車を取りに行く役を安部さんに頼んでとの伝言を受ける。今日は自分も危な
いかもしれないが一応了解と返事をして先に行く。

 50キロ通過が4時間45分。昨年より3分遅く余裕のはずなのに足に異常に疲れ
を感じる。暑さのせいなのか?この時点で今年のサブ10は無理だなと思う。後半
粘ればまだ可能性があるのに、気持ちが暑さに負けている。情けない。

 レストでも昨年のような余裕が無かった。何を見ても食欲が湧いてこない。と
りあえず冷たいものをコップで2、3杯飲んで、ウィーダをひとつ手に持って後半
戦に入った。出発してすぐの登り坂はさすがに足が重い。ゆっくり歩くように走り始
めたが、気持ちが負けて歩いてしまう。坂の上までウィーダを食べながらダラダラ
とした走りになってしまう。気合不充分のまま後半戦に入ってしまった。

 いつもなら美味いと感じる74キロ地点のお汁粉が喉を通らない。お腹の調子が
悪い。さっきから下腹がグルグル鳴って、ガスが溜まり張ってくる。そのせいか足
に力が入らない。熱さの中でだらだらと遠くまで続く道がとんでもなく長く見えて
また歩いてしまう。70キロ〜80キロはついにキロ8分まで落ち込んでしまった。

 ワッカに入っても足は重かった。例年だとここから元気が出て快調になるのに今
年は駄目だ。お腹の調子も悪く、トイレがある度に入ってしゃがみ込むが出そうで
出ない。ワッカ折り返し後もペースは上がらなかった。でも歩くのはもう止めた。
何とか10時間台ではゴールしたいと思った。このまま終っては後悔する。少しは
意地を出さないと駄目だ。登り坂でも、とにかく足を動かして前に進むことにした。

 残り5キロの最後のエイドを過ぎた頃から元気が出てきた。元気と共にペースが上が
ってくる。ワッカを出て残り2キロ地点を過ぎて今頃何だと思うくらい足が軽
くなった。バテバテだったのが嘘のような走りになってきた。前を行く集団をごぼ
う抜きする。残り1キロは更にペースアップして5キロレースのラストのようなゴ
ールをしてしまった。余力を残したゴールが悔しい。

 暑さに気持ちが負けて、存分に力を出し切れなかった今年のサロマ。暑さ対策を
研究し、精神的にもっと鍛えなおして来年のサロマに挑戦しよう。もっともっと暑
いサロマを期待して。

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