ここに「なつ」の写真があります。

1998年9月、台風の日に死んじゃった「なつ」です。

写真は子供の頃のものです。

誰が見ても「女のこ」って言うような可愛い顔でしょ。

「なつ」は生後2ヶ月の頃に捨てられていました。

1997年の5月の事です。

大阪の警察で保護されていたのですが

縁があってうちで預かる事になりました。

しばらくはドキドキの毎日でした。

だって飼い主が出てきたら返さなくちゃいけないでしょ。


あとでわかったのですが、

病気だから捨てられたんだろうって・・・。

 

うちに来た時から元気がありませんでした。

でも、まさか病気だとは思いませんでした。

まだ家に慣れないのだろうってね。

でも何日経っても様子がおかしいので

病院に連れて行くと、血液検査ですぐにわかる

先天性の肝臓の病気でした。

肝臓に血液が流れなくて・・・

助かるためにはとても難しい手術しかありません。

「アメリカに行けば助かるかもしれない」なんて言われましたが・・・

先生は「その手術は初めてだけど、私で良ければやってみましょうか?」

って言ってくださいました。

「手術中に死ぬかもしれない」とも言われましたが

そのままじゃ死ぬのを待っているだけですから・・・

だからお願いしました。

その頃、知り合いのゴールデンに赤ちゃんが産まれました。

「なつ」が死ぬかもしれないと思うと

やりきれなくて・・・もう一匹いた方が・・・なんて考えて

譲ってもらったのが「ゆき」です。

良かったのか悪かったのかわかりませんけれど

「なつ」の代わりにはなりませんね。

「なつ」は「なつ」。「ゆき」は「ゆき」。

 

術後の経過は順調でした。どんどん大きくなっていくし

よく食べて太ってくるし・・・

でも、元気だったのも半年ぐらいで

1998年、お正月を過ぎた頃から

どんどん痩せてきて苦しそうに歩きまわるようになりました。

春頃にはよだれが止まらなくなって・・・辛くて、辛くて・・・

安楽死も考えました。

ただ苦しむために生きているようでした。

脳障害を起こしていたそうです。

でも、私の事は良くわかっていました。

気が狂ったように部屋中を歩きながらも

途中に一度、私に甘えてからまた歩き出します。

一晩中歩いた事もしょっちゅうでした。

夏ごろには痩せ細ってしまって、骨と皮だけになりました。

でも、安楽死も出来なくて・・・

歩けなくなった「なつ」を抱いて公園に連れて行きました。

ちゃんとおしっこだけはわかっていましたから。


9月21日、台風が関西に上陸した日です。

なつは横たわったまま大きく息を吸ったと思ったら

それっきり・・・二度と息を吸う事も

苦しむ事もなくなって・・・

 

 

「やっと楽になれて良かったね・・・」。

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